よく患者さんに適正な内視鏡検査 間隔に関して質問を受けることがあります。
大腸内視鏡検査に関しては、
上右の図表にあるように《2020年消化器病学会ガイドライン》を参考に説明します。
図の上段に『初回の大腸内視鏡検査』とうたっているのは、1回の内視鏡検査では特に小さな病変は見落とす可能性もあるため、安全域を確保したうえで 検査間隔を提示していると考えられます。そのため、数年以内に複数回検査している人は、より長い検査間隔で大丈夫な可能性があります。
患者さんの相談で、よくあるのが
大腸ポリープを切除後の経過観察で、毎年検査をしていて異常はないのだが、1-2年たったので心配なので検査して欲しいというケースです。
上のガイドラインは初回を対象としています。
この場合、初回切除したポリープの情報がないため、きちっと正確な判断はできませんが、複数回続けて異常がなかったなら、検診に戻るでもいいかもしれません。
大腸癌ができたことがあったり、10個以上のポリープがみつかっている人は、5年単位には内視鏡検査を組み合わせた方がいいかもしれません。
開院以来 当院で施行した大腸内視鏡検査1430例中、進行大腸癌(18例)・早期大腸癌(6例)および その一歩手前の状態(4例)で入院加療が必要な大腸病変と診断した28例あります。そのうち、19例がそのときが初回の大腸内視鏡検査でした。
しかも、進行大腸癌18例に限ると16例⇒89.9%が初回検査でした。
医療経済を重視する欧米では、50歳以降では大腸癌検診に1回 内視鏡検査を可能としている国もあります。1年前までの便潜血が陰性であっても、大腸内視鏡をやってみたら、進行癌がみつかるケースもあります。
1回大腸内視鏡検査することでのリスク低下が、かなり大きいことを示しています。
心配し過ぎて 検査をやり過ぎるのも いけないですが、心配しなさ過ぎて、一回も検査しないで自分は大丈夫というのが一番 危険性があります。
参考にしていただければ幸いです。